令和の和菓子店として思うこと

令和の和菓子店として思うこと

おはようございます。和菓子上しまです。

 

今日は現代の和菓子店を開店する上で、私が重要だと考えている事やなぜそういう考えに至ったか、その上で何をしたいかという点についてブログを書こうと思います。

 

和菓子の現状

まず、唐突ですが和菓子の売り上げは年々減少しています。

下のグラフは「e-お菓子ねっと」菓子小売金額の推移データを参照しました。

和菓子売上の減少グラフ

2009年から2022年までのお菓子の種類別の売上比率の推移が記されています。我らが和菓子は緑色のグラフです。見ていただければ分かる通り、年によってバラつきはあるものの、緩やかに減少傾向なのがお分かり頂けると思います。

 

さらに和菓子屋さんの店舗数は年々減少していて、下のグラフは少し古いデータですが2006年に14,000店超あった和菓子店が2015年には11,442店まで減少しています。わずか10年間で2割弱が減少している計算になります。

和菓子屋の店舗数推移

つまり、日本人が作り出した和菓子の人気は現代において他のチョコレートなどのお菓子に取って代わられようとしているということと、そのせいで和菓子屋さんもどんどんなくなっていっているということです。

もちろん今後、日本は超高齢化社会になり、和菓子を好む年齢層の方が増えるとはいえ、和菓子を買うことができる場が減っていくせいで和菓子に触れる機会が減った中年が高齢者になった時、果たして洋菓子ではなく和菓子を選ぶのでしょうか。多分選びませんよね。ということでここまでの統計データから導き出せる結論としては

 

「和菓子、ヤバいじゃん、、」です

 

はい、和菓子ヤバいんです。どうせお菓子を作るならチョコレートや洋生菓子や台湾カステラやマリトッツォ(古い)作った方がいいんです。でもそこはあえての和菓子屋なのです。なぜなのか。それは、、

 

「実家が和菓子屋だから」

 

身も蓋もない答えですね。はい、当店は三越伊勢丹などで販売させていただいている落雁や琥珀糖を製造する和菓子悠という和菓子店を本家とした別ブランド、2代目店舗です。

 

和菓子を選んだ理由

冗談はさておき、私は和菓子が好きです。日本人だからという不偏的な理由を軸に、和菓子の繊細さ、日本ならではの四季/季節の移り変わりを和菓子で表現してしまうような侘び寂びの感覚、古くから変わらない伝統的なお菓子の数々、職人が一つ一つ手作りで連綿と繋いできた技やこだわり、うんちくの類の話などなど。ともすれば和菓子は令和の社会では古臭いのかもしれませんが、私にとっては一周回ってそういった和菓子を構成する様々な要素が他の洋菓子や一過性で飽きられていく流行りのお菓子にはない面白みを感じます。だからチョコレート菓子やマリトッツォ(しつこい)などではなく、和菓子なのです。

 

令和時代に和菓子を売るために

ただ、伝統を重んじる和菓子の良さもとても大切なのですが、今を生きる世代として、時代に沿ったアップデートが必要だと考えています。なぜかというと、先程のデータで示されている通り、和菓子の人気は洋菓子に奪われ、さらに和菓子店もどんどん潰れていく時代だからです。つまり和菓子はお菓子が食べたい人々に選ばれなくなっているという現実を踏まえ、その現実を変えて行くためには何か行動を起こす必要があるからです。

なぜ選ばれなくなっていっているのか。そのヒントは和菓子を作る人にあると考えています。まず、近所の商店街にある和菓子店を思い浮かべてみてください。皆さん色々な和菓子店を思い浮かべると思います。そのイメージでお店に立っている方がどんな方か思い出してみてください。恐らく大半の人が若い人ではなくおじいさんかおばあさん、もしくは2代目のおじさんやおばさんを思い浮かべられるのではないでしょうか。もちろん若い店主が営む和菓子屋もたくさんありますが、全体の割合として、圧倒的に前者の方が多いと思います。つまり作り手が高齢化していって若返りがなかなか出来ていないということです。

さらに、そういった和菓子店はかなりの割合で電子決済やクレジットカード決済に対応していません。かろうじて商店街全体で取り組まされているpaypayを導入しているかどうか、くらいのものです。

また、オンラインでの販売もされていないお店がほとんどです。ホームページがあっても阿部寛の事務所のHPかな、というADSLの時代に作られたであろうシンプルな、文字がドット絵のような、でもなんだかとてもページを読み込むのが遅いあのホームページです。

これらの事から導き出せる結論として、現代の現金を持たないキャッシュレスの時代に現金払いのみ、さらにオンラインでも販売していない和菓子屋さんだとどんなに美味しい和菓子でも、買うことが出来ないお客様が増えるという事です。さらにこういったデジタル派は若い世代に多いため、新しいお客様を増やす事が出来にくい環境に自らを追い込んでしまっている事に気付けないまま、なんだかコロナ終わってもお客様が戻って来ないな、、と思いながらその日作った和菓子が売れ残ってしまうことになってしまいます。

ここで言いたかったのはデジタルにシフトしよう、ということでは決してありません。本当に大切だと思うことは「お客様のために何ができるかを考えて行動すること」です。キャッシュレス決済もカード決済もオンライン販売も、手間やお金がかかります。でもお客様の利便性は確実に上がります。フラッと立ち寄った雰囲気のある和菓子屋で美味しそうな団子があっても買えなければ意味がありません。和菓子を買えなかったお客様はその隣のおしゃれなコーヒースタンドでコーヒーとフィナンシェを買うかもしれません。もしくは台湾カステラを買うかもしれません(しつこい)。お店に入ることすら敬遠され、見えない、気付けないところで圧倒的に機会損失してしまい、結果的にお店を畳む判断をされる方も増えてきているということだと思います。さらに年金が潤沢な今はまだいいですが、これから徐々に年金支給額が減っていけばそういった和菓子店の赤字を補填する家計の財源も少なくなるので経営を諦める店主も増えると思います。

せっかく美味しい和菓子を作ることができる和菓子屋さんがたくさんあるのにこんなに悲しいことはありません。だから何ができるか考え行動していく事が必要ですし、我が 和菓子上しま は色々なことを考え、工夫して手間もお金もかけて、よりたくさんの人に手にとって頂き、その結果お客様とお客様の大切な人を笑顔にしたいと考えています。

 

では!

 

 

 

 

 

 

 

 

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